(第3回)AutoCAD Tips 作図編①

(第3回)AutoCAD Tips 作図編①

目次

はじめに
外部参照とは?
参照パスは相対パスが設定される
アタッチとオーバーレイの違い
e-トランスミット
さいごに

はじめに

前回は設定編②として、さまざまな初期設定についてご紹介しました。

今回は作図編①として、外部参照について説明してみます。

外部参照とは?

外部参照とは、現在開いている作業中の図面ファイルに他の図面ファイルをリンクする機能です。
図面をアタッチする、という言い方をすることもあります。
リンクした図面に変更が加えられた場合、現在の図面にもその変更が反映されます。

同一のデータを複数の図面で使用するとき、それらを単純に複製した場合、使用している全ての図面を開いて修正して保存するという作業が必要になります。一方で、データがリンクされていれば、元のデータ1枚を修正すればその図面を参照している全ての図面に反映されますので非常に効率的ですし、図面の修正漏れもなく整合性を保つことができます。
外部参照を用いる場合、その図面に実際に描画されるわけではないので、図面のファイルサイズが大きくならないという利点もあります。

外部参照を設定するには、XREF[外部参照]コマンドを使用して外部参照パレットを開きます。
DWG アイコンを選択してファイルをアタッチします。
(イメージやPDFをアタッチすることもできますが、ここではDWGを使って説明を進めていきます)

もしくは、リボンメニューの[挿入]タブから[アタッチ]を選択して、参照するファイルを選択することもできます。

下の画像は、[A-02.dwg]という図面に、[Exterior Elevations.dwg]という図面をアタッチした状態の外部参照パレットです。

外部参照パレットで参照名を選択すると、参照されているすべてのインスタンスがハイライト表示になります。
あるいは、外部参照パレットで[プレビュー]アイコンを押すと、参照しているインスタンスをプレビューウインドウで確認できます。

逆に、図面上で外部参照インスタンスを選択すると、[外部参照]パレットで参照名がハイライト表示されます。
この仕組みを理解しておけば、外部参照が複数設定されている複雑な図面も容易に扱うことができると思います。

参照パスは相対パスが設定される

外部参照ファイルをアタッチすると、外部参照の破損を防止するために、既定のパスの種類が相対パスに設定されます。

相対パスとは、フォルダパスの一部を指定するもので、現在の図面から見て目的のファイルがどの場所にあるかを示します。
一方の絶対パスは、ファイル参照の場所を完全に指定するフォルダの階層構造のことです。
絶対全パスには、ローカル ハードのドライブ文字、WebサイトへのURL、ネットワーク サーバのドライブ文字などが含まれます。

下の画像の例で見ると、[Exterior Elevations.dwg]は、現在の図面である[A-02.dwg]と同じ場所にあり、
[Grid Plan.dwg]という図面は、現在の図面があるフォルダを基準に.\data\Resという場所にあるということを意味します。
[Exterior Elevations.dwg]と[Grid Plan.dwg]は相対パスが設定されています。
一方、[Wall Base.dwg]はファイルの場所が完全に指定されていることが分かります。こちらは絶対パスが設定されています。

相対パスの参照ファイルを含む図面を別の場所に保存した場合、相対パスを更新するかどうか確認するメッセージが表示されます。
相対パスを更新しないとファイルが参照できなくなる可能性がありますので、画面指示に従って更新するようにしましょう。

アタッチとオーバーレイの違い

外部参照には、アタッチとオーバーレイという2つの種類があります。
アタッチとオーバーレイには、どのような違いがあるのでしょうか?

上の図は外部参照の設定画面です。参照の種類は、赤枠で囲った部分で選択します。

外部参照しようとする図面に、外部参照している図面が含まれている場合、
外部参照内外部参照の図面を表示させるかさせないかによって、アタッチとオーバーレイを使い分けます。
少しややこしいのですが、簡潔に違いを説明すると以下のようになります。

アタッチ  :外部参照した図面をさらに外部参照するとき、この図面も外部参照に含める
オーバーレイ:外部参照した図面をさらに外部参照するとき、この図面は外部参照に含めない

下の画像を例にすると、[STAIR.dwg]はオーバーレイになっています。
[A-02.dwg]を新規図面[drawing1.dwg]に外部参照すると、[Exterior Elevations.dwg][Grid Plan.dwg][Wall Base.dwg]は参照されますが
[STAIR.dwg]は参照されません。
つまり、オーバーレイを選択すると、直接外部参照している図面だけに表示され、他の図面には表示されないということになります。

外部参照が複雑になってくると、表示させるもの・させないものの管理も必要になってくると思います。
参照の種類についてもしっかり理解しておくとよいでしょう。

e-トランスミット

最後に、外部参照が含まれる図面の扱いについてです。
外部参照が含まれる図面を外部へ渡すときは、受領側で「参照図面が見つからない」といった問題がおこらないよう、
e-トランスミット(ETRANSMIT)を使って関連するファイルをパッケージ化しましょう。

アプリケーションメニューから、[パブリッシュ]>[e-トランスミット]を選択します。

[ファイル ツリー]タブには、このパッケージに含まれる元図面と外部参照図面が表示されています。
他にも、現在の図面に関連付けられているファイル(印刷スタイル、フォントなど)もいっしょに一覧表示されます。
チェックボックスにチェックが入っているものがパッケージ化の対象となります。
問題なければ[OK]をクリックして保存場所を指定し、転送パッケージを作成しましょう。
転送パッケージはzipファイルで作成されます。

さいごに

今回は外部参照にまつわるTipsを紹介しましたが、いかがでしょうか。
次回も便利な機能を紹介できればと思っております。