目次
日本企業がクラウドに抵抗を示す背景
ベアメタルクラウドの登場
オラクルの強み
日本企業がクラウドに抵抗を示す背景
企業内で社外にサーバを委託するという事に強い抵抗があった日本企業。数年前あたりから銀行のクラウド利用が相次ぎ、ようやくクラウドに対する認知が進んだようで、一気に利用が進んでいます。
そこでクラウドの利用がどこまで進んでいるのか調査にあたりたいと思い、さっそく総務省の情報をチェックしてみました。
(出典)総務省「通信利用動向調査」
なんと意外や意外です。
利用が進んできているとはいうものの通信利用動向調査の結果を見ると、クラウド利用の主体はあくまでも情報系。
企業の動向を察するにようやくSaaS利用による給与、財務会計での利用が広がりつつあるといったところであり、基幹系を中心とした企業の中核システムのクラウド化はこれから普及していくという感じでしょうか。
おそらくその理由は大規模システムの更新タイミングなど、様々な要因がありそうですが、理由の一つとしてセキュリティに対する懸念がやはり大きいようです。
クラウドは高品質かつ技術者も抵抗が少なく比較的導入がしやすいものだと思ってはいたのですが、意外な事実です。
更に情報を見てみると下の通信利用動向調査でクラウドを利用しない理由については、1位の「必要性が無い」は別として、圧倒的な2位に「情報漏洩などセキュリティに不安がある」があげられていました。
(出典)総務省「通信利用動向調査」
一方、見方によっては主要なパブリッククラウドのベンダはあらゆる社外監査(SOCなど)を受け、セキュリティ対策を施し、自動的に最新のセキュリティパッチに対応してくれるなど、個々の企業レベルでのオンプレミス等々より信用できるとも捉えられます。
ということは上記の通信利用動向調査が完全に間違いか?と問われるともちろんクラウド環境に不安は無くも無さそうで
- 多くの利用者が仮想環境で混在する(物理的に独立していない)
- インターネット環境下での使用は完全に侵入を防ぐことは難しいのではないか
さらに仮想化環境での安定パフォーマンスへの不安や、コンプライアンスなど完全に払拭されたわけではないことも事実として挙がっています。
クラウドを導入するには、企業としてはハードルが高いセキュリティで引っかかっているんですね。
ベアメタルクラウドの登場
そんなハードルが高いクラウド導入の懸念を払拭するべく、大手各社から一斉に登場したのが「ベアメタルクラウド」です。
簡単に言ってしまえば物理サーバをクラウド上で使用することが出来るサービスでクラウドの強みである拡張性、利用に応じたコストなど、いいとこ取りのサービス。
つまり、自社専用であるため
- オンプレ環境をそのまま移植可能(そこまで単純ではないだろうが)
- 仮想化のネストによるパフォーマンス低下の恐れが無い
- セキュリティ面でも信頼性が向上
上記3つの要素に合わせてクラウドと直接接続する「ダイレクトコネクト」等の専用回線サービスを組み合わせれば、クラウドに対する不安点がほぼ払拭され、安心・安全にクラウド化が可能になります。
これで近年、企業がクラウドを導入するきっかけとなってきているという訳ですね。
実際に調べてみると現在のクラウドの普及に至るまで様々な背景があります。
オラクルの強み
大手各社が提供を始めたと書きましたが、クラウドビジネスを本格的に提供する当初から「ベアメタル」で提供してきたベンダがあります。
DBでは世界で圧倒的なシェアを誇るOracleです。
みなさんはご存知でしたでしょうか。
(私も耳にはしていたものの最近まで実際にどのようなサービスが利用出来るのか具体的には知りませんでした。)
OracleのクラウドといってもAWSやMS、IBM、GCPの4強に比べると、現時点ではシェアも低いようで、クラウドの世界では大手4社に次ぐセカンドグループの扱い(AWSが1強、セカンドグループがMS、IBM、GCP、その下のグループとされることも多い)ですが、昨今Oracleは一気に上位グループに追いつき、追い越すことに自信を深めているとのことです。
その自信の根拠はやはり、彼らは基幹システムやBIGDATA、IoTなど分析系に欠かせないDBを握る強力なベンダだからですね。
OracleはIaaSだけではないSaaSやPaaSではスタートラインからアドバンテージを持つことで急速にシェアを伸ばしているようです。
注)ちなみに、米ガートナー(Gartner)によると注視が必要なベンダは6社しかないらしいです(以下、表参照)
もちろんOracleも入っていますね。
そして今回、一番伝えたかったのが現在シェアを伸ばしている Oracle Cloud が新たな目玉として、「Oracle Cloud Platform Autonomous Services」の提供を開始したとのことです。
「Autonomous」…サービス名に「自律」という単語がありますが、これは一体どういうことでしょうか。
最近よく話題になるAIに近い機能なのか。
どうやらこのサービスは全ての「Oracle Cloud Platform」サービスで
- 自己稼働(Self-Driving)
- 自己保護(Self-Securing)
- 自己修復(Self-Repairing)
を可能にするということらしいです。
自己稼動、自己保護、自己修復…なんだかこの言葉だけですごい技術が使われているのではないかと感じますね。
まさにAIを駆使したサービスのようです。
ですが自律型…といわれてもそれだけではイメージが沸きにくいのではないでしょうか。
我々はこのサービスの先駆であり、代表的なサービスとして提供されるOracle Autonomous Data Warehouse Cloud(ADWC)を検証しながら、その意味と可能性を探っていきたいと思います。
私としても初めて使用するものであり、新しいプラットフォームに戸惑いや間違いはあることを想定しているので情報を調べながらになりそうですが、クラウドが更に革新しITが豊かになるように願い、興味を持たれている皆様方からも情報提供をいただきながら、私どももこのブログを通して情報を発信していきたいと思っております。
- Oracle Autonomous Data Warehouse Cloud(ADWC)の機能調査開始について
- (第1回)Autonomous Databaseの立ち上げ(アカウント登録からプロビジョニングまで)
- (第2回)Autonomous Databaseの立ち上げ(プロビジョニングから確認まで)
- (第3回)Oracle Cloud データウェアハウス(DWH) 市場動向調査
- (第4回)SQL Developerを使用してAWDCと接続する
- (第5回)AWDCユーザーの追加とバケットへのデータロード
- (第6回)Command Line Interface(CLI)をインストールする
- (第7回)Command Line Interface(CLI)を設定する
- (第8回)Autonomous Database Warehouseにテーブルを作成、データのロード準備
- (セミナー参加報告) OCI Partner Deep Dive Days